フロリダマウス
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  フロリダマウス



紀元前1350年頃。第18王朝のファラオ ホレムヘブが統べる古豪国家、エジプトの神殿には、神官のほか、神の使いとして、顔が動物の形をした者もいた。イヌの顔をした者はアヌビス(神) 鳥の顔をしたものはトト(神)と呼ばれていた。
エジプト崩壊と共に、その者(人種)たちも絶滅してしまった。しかし、その者たちの姿は壁画として、また、ミイラとして現代に伝えられた。


左から 太陽神ラー・ホルアクティ、アヌビス神トト神(ラーの裁きを受ける)死者




200X年のある日。朝6時、フロリダマウスのジョンはベッドから起き、洗面台に向かった。
ここは東京ディズニーリゾート内の秘密の場所にあるフロリダマウスの宿舎。
「ジョン おはよう」顔がミニーマウスそっくりのリリーが声をかけた。
「おはよう、リリー」どう見てもミッキーマウスにしか見えないジョンは返事を返した。

食堂には共に寝起きしている数十人の仲間が集まった。ジョンやリリーのように、ネズミの顔をした仲間のほか、リスの顔や、アヒルの顔、イヌの顔をした仲間もいる。
食堂には、温かくておいしそうな料理がずらりと並んでいる。
ただ、皆、胴体の大きさに比べ、顔や口が大きいので、食事は割と早めに済んでしまう。
ジョンも食事を済ますと、自分の部屋に戻り、シフト表を確認した。
「10:00〜 キャラクターグリーティング TDL ワールドバザール」・・・




199X年、フロリダのディズニーワールド、アニマルキングダムの奥にある生物研究所「コンサベーション・ステーション」。ゲストは密林の中を専用のSLに乗らないとその場所に行き着くことはできない。
その、秘境の奥の秘密研究所の奥まった一室で、ある研究が行われていた。
日本のディズニーリゾートからこんな手紙がディズニー本社に寄せられていたのである。

「ディズニーランドでは大勢のキャラクターが活躍していますが、最近『キャラクターの中に誰が入っているか』が話題となっており、誠に遺憾です。
また、TDSが開園すると、キャラクターの中に入るキャストも増員しなければならないのですが、着ぐるみの中に入る仕事は重労働で、人が集まりません。
こんな苦境を知らない方のサイト『TDLのおはなし しゅんしゅんのホームページ』には 
キャラクターと触れあう機会を増やして欲しい と呑気なことが書いてあります。助けて下さい」

一方、本国のディズニーランド・ディズニーワールドでも、キャラクターをつとめるキャストの人件費が問題になっていた。 そこで・・・・



ねずみのジョンは、更衣室で「TDL キャラグリ」用の制服を身につけた。リリーは船員服を身につけている。彼女の今日の仕事はTDSのようだ。リリーは何を着ても可愛らしいな、とジョンはリリーを見つめた。リリーもジョンの方を見つめている。
真っ白な手袋も付け、制服を着終わったジョンは、宿舎の玄関ホールへ。そこで、責任者からチェックを受け、外のバス乗り場へ。
外には改造エアガンを手にしたガードマンが大勢立ち、不審者の侵入を防いでいる。
改造と言っても、改造されたのは玉の方である。当たると中身の辛子汁やディップが相手に付着する仕掛け。

バスを降りると、キャストが一人付く。ここから先はオンステージ、ミッキーマウスらしく振る舞わなくては。
とはいっても、子どもの頃から訓練を受けているジョンにとって、ミッキーマウスらしく振る舞うことは朝飯前だが。
ゲストが持っているチュロス。ジョンが欲しそうに見ているので、キャストが慌てて大きな耳に耳打ちした。。
「ジョン、チュロスは宿舎に用意してもらうから、ここでは我慢してね」


ディズニー社では、子どもの夢を守り、人件費も抑制できるということで、ある研究を始めた。
ネズミの遺伝子に、サルやクマ、さらに、エジプトのミイラから取りだしたアヌビスやトトの遺伝子なども加え、新種の生物が完成した。
人間ぐらいの大きさ、顔はミッキーマウスそっくりのネズミで、二足歩行する。知能も高め。
その新種の生物にコスチュームを付けて、パークに放てばキャラクターグリーティングができるという寸法である。
ネズミの後は、リスやイヌ、アヒルの顔をした仲間も誕生した。


オンステージ(ゲストがいるところ)は相変わらず賑わっていた。
人混みの向こうにミニーマウスが見える。あれ、あんな娘、いたっけ?。
ゲストの相手をしながらミッキーことジョンは「なーんだ」と思った。
そう、彼女は着ぐるみのミニーちゃんだったというわけ。

パークでは、本物のネズミや動物はまだ少数派。でも、ネズミはどんどん増えていくだろう。どうしてかな??


キャラクターそっくりの新種の動物?の開発に成功し、それをフロリダマウスと名付けたディズニー社だったが、その存在は重要な社外秘とされた。
キャラクターの正体は表に出てはいけないものなのである。
世界中の子供達の夢を守るために。

極秘裏に繁殖されたキャラクター動物たちの一部は、ディズニー社の自家用ジェットで舞浜に運ばれた。
そして、オリエンタルランド社の敷地内に宿舎が建設され、そこに収容されたのである。
キャラクターたちは、建物の中と専用庭は自由に動けるが、外に出るときはキャラクターとしてしか出られない。
えっ、可哀想だって。水族館で飼われているイルカのようなものでは。


仕事を終えたジョンが宿舎に帰って間もなく、リリーがジョンの部屋に入ってきた。
「ジョン、許可をもらってきたわよ」「本当かい?」 
こうして、二人はカップルとなり、子どもを作ることになった。

このようにして、ネズミたちは自分たちで殖えていく。これをねずみ算というかどうかはわからないが。
ネズミがどんどん殖えていけば、将来は振り付けが必要な一部の場面を除き、出演機会の多いキャラクターは全部『本物』になるかもね。




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(C) SHUNSHUN 2005

エジプト画について

書記チャウエンフイのシャブティ箱(墓の副葬品)
紀元前1069-945年頃の作品より、人物の部分を抜粋

絵の右側にいる人が、死者である書記チャウエンフイで、絵画は彼がラーの裁きを受ける場面です

ちなみに、「アヌビス神、トト神のミイラ」は現在の所存在していません。管理人の創作です

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