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2014年の富士山登頂記





萬年雪山荘について(この下へ)    その1(実際の登山)


私も妻も普段から大した運動もしていないし、登山もズブの素人。そんなふたりが経験者も同行せず、二人だけで日本最高地点を極めることができました。
一般的な登山客より時間はかかりましたし、もちろん楽ではなかったけど、行ったことにはかわりありません。



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登山計画


もちろん、登山である以上は入念な準備は欠かせません。
昔と違ってネットなどを無料で膨大な情報を仕入れることができます。というか情報量が多すぎるので取捨選択をしないと混乱するかも。

また、私たちは3年前に宝永火口に出かけて以来、途中で折り返したり山を歩くことで下見や装備のチェックもしており、経験不足をカバーしています。


山小屋を九合目にしたのは、翌日の登山の距離を少しでも短くするため。山小屋の環境は劣悪で満足に眠れないと聞いていましたので、二日目の行動を少しでも少なくする意図がありました。
また、計画段階から「御来光登山」は実施しないこととし、装備も簡略化しました。

富士宮口新五合目到着は9:00になるように計画を立てました。この時間から御来光登山組が車に戻り始めるからです。
戻りのピークは10時〜11時ですが、この時間に停め損なうと下の道路に停めるしかなくなるのと、登山時間の余裕もなくなります。(普通の登山者より高いところにある九合目を目指すため、時間の余裕は欲しかった)

正直、体力面で不安がなかったわけではありませんが、ある書籍に「20kmを一気に歩き通せる体力があれば富士登山は可能。不安なら一度20km歩いてみたら??」と専門家がアドバイスしていました。
そこで、妻が6月に開催された「はままつハーフウォーキング」に参加して21km歩いてみることを計画し、ハーフウォーキング自体は無事に完歩しています。


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持ち物
各サイトや書籍などで散々書き尽くされていますが、私がこだわったところや失敗した所など。

ステッキ2本 
宝永ハイキングの頃から金剛杖には疑問を持っていました。体重を支える際には握力に頼らなくてはならないし、意外と重い。
あるツアーでは参加者全員がステッキ2本使用していましたし、金剛杖を子どもに使わせていた父親は「基本は自分の脚で歩き、どうしてもバランスを崩しそうな時だけ杖に頼るんだ」……普段は荷物じゃん……


携帯電話・バッテリー
iPhoenはバッテリーの交換が出来ないため、バッテリーを持っていくしかありません。私はバッテリー2つと充電コード2本持って上がりました。
案の定、充電コードの1本が不調でしたので、予備がなければバッテリーが只の重しになるところでした。
位置確認のアプリや天気予報、Facebookのお相手など意外と電池を食ってしまいます。
あと、山荘ではマナーモードでは生ぬるいです。バイブも全部止めないとまわりの迷惑になります。


カメラ
軽量化のためiPhone4だけと行きたいところですが、バッテリーの消耗時や故障時を考えて、小型のコンデジを持参しました。登頂に成功したとき、剣ヶ峰の石碑の前では登山者が撮りっこすると聞いていたため、操作が簡便なカメラでないと撮ってもらえないこともありますし。
実際、剣ヶ峰では登山者が撮りっこしていたのですが、TDRの時とルールが違っていました(その時だけかもしれませんが)

順番がA、B、S(私達)、C……と並んでいた場合
TDRだと、AはBに撮ってもらう。BはSに撮ってもらう。SはCに撮ってもらう……と順送りでしたが、
山頂では、AがBを撮り、BがAを撮る。私たちSはCと撮りっこ、というようにお互いに撮り合うような感じでした。
何れにしても、困難な道を通ってきた「仲間」であることから、良い雰囲気ではありました。


服装
靴下は登山専用品、Tシャツも汗を飛ばす機能付きのものとこだわった以外は特に買っていません。フリース1枚の他は薄い服を何枚か持って行って重ね着する作戦をとりました。深夜に登山して山頂で待機する「御来光登山」だとそういうわけには行かないと思います。


携帯酸素 
私は役にたちませんでした。


カロリーメイト 
山小屋の食事は量が少ないと聞いていたので、大量に持っていったのですがパサパサして、口に入れるとモソモソ感が凄く、とても食べられませんでした。
気圧検証用に持っていった「ピザポテト」の方が美味しくいただけました。
普段から食べ慣れている人でないと、カロリーメイトは荷物になるだけです。

水  
山小屋では500mlの水を1本500円で販売しています。山小屋で買うのを控えたいところですが、重いために2本担いで行くのが限度でしょう。
また、水をけちって脱水症状が出てしまってはただでさえきつい登山がもっときつくなります。今回は2日間で8本ぐらい購入しており、水だけで4,000円ぐらい使ったことになりますが、入山料として割り切るしかありません。。


ザック
ザックは登山専用品がベストです。私も店頭で背負って分かったのですが、腰で荷物の重量を支えるため、背負ってしまえば見かけほど重く感じません。(私は55リットルのものを使用)
大きさ的には多少のゆとりが欲しいところです。というのはゴミはすべて持ち帰らなくてはならないわけで、上記のペットボトルの空き容器がどんどん溜まっていくます。山小屋では買った容器しか引き取ってくれません。
タイミングが合えばさっきまで使っていた空き容器に水を移し替え、水を買った山小屋で元の容器を引き取ってもらう方法がありますが、ザックに余裕のない妻の分も合わせ、10本近い空き容器を持って下山しました。
(妻は、私が持っているトレッキング用の25リットルを使用)


懐中電灯
御来光登山をしないつもりの私達でしたが、ヘッドランプは持参しました。
天候の急変や噴火情報など、夜間に移動しなくてはならないケースを想定したからで、コレばかりは使わなくて荷物になったことを後悔しませんでした。


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iPhoneのおすすめアプリ(iTunes Store) 2012.7現在


富士山登山サポートBook  同名のムックがそのまま取り込まれている。そのため字が小さいが内容は豊富。オフラインで使用可能。今回の登山で「次の山小屋は標高何メートル?」などと最も使用したアプリ。

富士山「天の力」  富士山の写真集だが、山体ではなく登山の光景などが多く、また、登山の心得などもわかりやすく解説している。

山と高原地図 有料のマップを取り込んで、GPSで現在位置が分かるという優れもの。地図は予めDLしておくため、圏外でも使用出来る

標高ワカール 現在位置周辺の標点の平均値を表示するため、富士山では誤差は激しいが、富士山に行く途中の道路で使用すると、標高がぐんぐん上がっていくのが感じられて楽しいです。


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富士山富士宮口登山道 九合目山小屋「萬年雪山荘」


富士山表富士宮口登山組合HP  萬年雪山荘HP

万年雪山荘の隣には巨大な雪渓(万年雪)が。
ホースとタンクで水を山小屋の中に導いている。
万年雪山荘の建物。まあ、富士山の山小屋は似たり寄ったりだけど。
この小さな建物に250人宿泊するわけ。



料金は1泊2食で7,000円。これは富士宮口の組合で決まっている値段。
到着すると、山小屋のスタッフが椅子に座ったまま「こちらへどうぞ」と登山客にも椅子を勧めてチェックインと支払い。
部屋は勿論相部屋で、「今日は定員5人の所を4人で使って頂きます」とのこと。
他の山荘だと大部屋スタイルが多く、落ち着かなさそうですが、個室スタイルなので同室者のみに気を遣えば良いのは有難いことです。

男女関係なく部屋割りされますが、未知の男女が隣り合わせにならないような配慮はしているように見受けられました。
私達もそうですが「男性が奥、女性が手前に寝てください」(またはその逆)と指示している声が聞かれました。
グループだとそうは行かないようで「おい、誰が◯◯ちゃんの隣で寝る??」と盛り上がっているグループもいました。

部屋ごとにカーテンついているので、暗くして休めます……そのために懐中電灯が必要です。ヘッドランプでは眩しすぎるので、100円均一で売っている小型のものが良いです。
二段ベッドですので、私だと上半身起こせる程度。大きさ的には幅3m、長さ1.7m位でしょうか。今回のように一人の幅が75cm位だと寝返りが打てますが、60cmだときつい。ネットで見た情報だと、混雑時にはこのスペース(もしかしたら画像のちょっと大きめのスペースかもしれない)に7人詰め込むこともあるそうです。
(頭と足を交互に……というあれです。)
以前は布団1枚に3人という山小屋があったそうですが、現在、御殿場口では「一人布団1枚」の山小屋とか、吉田口では寝袋スタイルの山小屋が出てくるなど、富士山全体で徐々に改善の方向に向かっているように思います。
布団、枕のカバーは洗濯していないし、満足に干せてないので、枕カバー代わりのタオルは必要かと思います。(他の山小屋も同様です)
布団はダブルサイズのものを2人で使いました。

館内ではサンダルを貸してくれるので、登山靴からは解放されます。ただ、通路がサンダルと登山靴で埋め尽くされますがww

定員通りだと200人入れる万年雪山荘、食堂は40人ぐらい入れるので、食事で場所がないということはないでしょう。ただ、雨降りだと登山客が避難してくるので混みそうですが。

トイレの前に比較的立派な更衣室がありました。(男女共用で、使用時には「使用中」と札を出す)
トイレは「ちょっと掃除が行き届かない公衆トイレ」のレベルでした。

富士宮口 万年雪山荘 富士宮口 万年雪山荘 部屋の内部
万年雪山荘の宿所内部の様子。部屋(?)の中は飲食喫煙禁止。
夜になるとこの通路が登山靴とサンダルで埋め尽くされる。
私達が泊まった所ではなく6人タイプ(?)の室内。私達が泊まった部屋よりも布団1枚分だけ幅が広い。ここの主は全員御来光登山で先発していた。(到着時は当然布団はキレイに並んでいる)
食堂。団体のお客さんはここで喋るためいつも賑やか。




夕食はカレー。朝食はパック弁当。いずれも1,000円ずつの計算です。
夕食は食券を渡され、17:00〜19:00までの間に食堂で食べます。
朝食は1:30〜(??……私たちは5:30)の間に食券とパックを引き換えます。山小屋から持ちだして御来光を見た後の山頂で食べてもいいし、食堂で食べた場合はパックを引き取ってもらえます。
ただ、朝食に関しては他の山小屋ではパン化が進んでいるため、いずれそうなるのかもしれません。(ご飯のデメリット……キャンセルがあった時に日持ちがしない、頂上で食べる場合、食べ残しの始末が大変)

夕食のカレーライス。話に聞く通り小盛りで、カロリーを消費する登山の食事としてはこれだけでは足りないだろう。
有料でうどん(800円)などの食事がとれるし、パンも売っている(1個400円)。
隣の雪渓(万年雪)から取れる水が豊富なはずなのだが、お茶のお代わりができない感じだった。
朝食のパック弁当。おかずは大学芋、たくわん、ミートボール、昆布の煮物。この御飯は万年雪の雪解け水で炊いたものだそうだ。

私としてはご飯のほうがありがたいのだが……。





あと、富士山全体の話になりますが、山小屋スタッフの対応が悪いと話題になったり、ネット上で見たりしますが、決められた以外のサービスを要求しているからではないでしょうか。
閉ざされた環境で、限られたスタッフで怒涛のように押し寄せる登山客の相手をしなければならないスタッフも大変です。
(ちなみに、下界から「その日の新聞(スポーツ新聞)」をおみやげに持っていくと大変喜ばれるそうです。)


例えば……
五合目からのバスの時間を聞いたら「知らねぇ」とキレられた→バスの時間の案内はサービスの範囲外……そんなのは山小屋の壁に貼ってある観光協会のポスターを見て自分で観光協会に電話して聞けばいいのにね

道案内はくわえタバコで座ったまま→道案内の目的は果たしている

あと、食事を作ってもらったり、(湿っぽい?)寝具を人数分並べたり、掃除をしたりと、対価を得るのに必要なサービスはしているということです。



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