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「天は赤い河のほとり」パロディ小説(3)

「ウガリット物語」

ウガリットの近郊で

ユーリさまは、多くのヘビで囲まれたウガリット城を開放、アルハルバ王を軟禁した。
ここは、城内にあるユーリさまの執務室。
マリ・ピアシュアリ皇弟陛下と女官3姉妹、そして元老院文官、シュンシューン・イナリが次の作戦を練っていた。
シュンシューンは書記官長、イル・バーニさまの名代としてウガリットに派遣されていたのだ。
(コミックにいないって??。彼は荷駄と一緒に行動していたので・・・)
 
 
 

事件発生

「イシュタルさま、大変でございます」ルサファが執務室に飛び込んできた。
「どうしたの??」「ルサファさま!!」
「実は・・・申し上げにくいことですが・・・」
「ペイダに先行させていた、我がヒッタイト軍の兵士が事もあろうに、ペイダ町内で町娘を暴行してしまったようなのです。」
「えっ」
「女性の悲鳴を聞いた村長がその兵士を拘束、我が軍に引き渡してくれました」

「な、なんということ」「あれほど『女子供にはぜったい紳士的にやさしく。そうすれば女性なんてイヤってほど向こうから寄ってくるっ』って言ったのに」
ユーリは落胆した。私、イシュタルとして不適格なのかなぁ。
 
 
 

事件の概要

問題の兵士 ベケスは、近衛副長官の命により、ペイダの町に潜行していた。
エジプト兵の相手をする娼婦を効果的に配置するためである。
薄ものをまとい、香水をつけた娼婦と一緒に行動しているうちに、欲望が沸いてきたベケス。でも、娼婦はエジプト兵を引き留める有力な戦力なので手を付けることができない。
ふと、ぽっちゃりとした魅力的な娘が歩いていたので、声をかけ、後ろから抱きつき、事に及んだということのようだ。
 
 

ユーリ、シュンシューンに託す

ルサファは
「とりあえず、村長のもとにはお詫びとして銀200枚を届けました。村長からの使者によりますと、娘は生ではなかったようで、現在は村長宅の奥座敷で落ち着いているとのこと。『本来なら兵士は死罪であるが、「敵味方を問わず、女性にひどいことをしたら、あたし許さない」というユーリさまのお言葉を信じて』兵士ベケスを引き渡してくれました。現在は牢に閉じこめてあります。ユーリさま、御処分は如何ように??」と切り出した。
(生だったら即刻死罪は免れなかったかな・・・・)シュンシューンは密かに思った

「イシュタルさま。このあたりの慣習ですと、死一等を免れた性犯罪の罪人は◇◇を切断し、宦官となす由にございます」とヘロン(ウガリット王、アルハルバに仕える大臣)は奏上した。
「そ、そんな。いくら罪人でも、罰なら他のものを。◇◇を切るなんてひどすぎる。兵士の◇◇を切り落とすのを見過ごす礼儀なんて、知らない
ユーリは唸った。
「でも、女性として許せないわ。本人が一生この類のことに手を染める気がおきないような厳しい罰を」と三姉妹。
「彼は弓兵隊の中では五本の指に入る弓の名手です。罰は必要ですが、戦士として更正できる方法も考えるのが帝国のためと存じます」とは炎夏の秤から帰還したばかりのルサファ。

ユーリは悩んだ。そんな、色々な条件を満たす刑罰なんて思いつかない。日本のように懲役??。
「ユーリさま、こんなのはいかがでしょうか?」シュンシューンはユーリに耳打ちした。

「さすが、シュンシューン。その通りにして。でも、あなたがアレを使えるなんて知らなかったわ」
「人を治めるのには人の力を。アレの力は人を治めるのに使うべきではないのです。」

そして、ユーリと三姉妹、ルサファは「娼婦と娼館の主人」に変装すると、エジプト軍の馬を解き放ちに、ペイダの町へ向かった。
シュンシューンは、マリ殿下と明日の打ち合わせを始めた。
 
 

刑の執行準備

翌日、ペイダのまちを見下ろす高台にベケスは連れてこられた。
地面に横たわらせられると、手足を杭に固定された。
「やっぱり『炎夏の秤』ではないのか」「でも、おかしいぞ。首が固定されていない」
兵士たちが口々に語り合っているところに、元老院文官、シュンシューン・イナリが現れた。
「ま、まさか」「シュンシューンさまが現れたということは・・・・」

シュンシューンの執事は、瓶に入ったはちみつとバターを、ベケスの体に塗り始めた。
「わー、やめてくれー、宦官の方がマシだー」
ベケスの叫びもむなしく、彼の全身は、はちみつまみれに。
事情を知っている兵士は震えている
 
 
 

執 行

シュンシューンはベケスの横に立つと、両手を上げて天に祈った。
すると、空の一角が暗くなって、何かが近づいてきた。
近づいてきたのは大量のゴキブリとハエ。
そう、シュンシューンは魔法で虫や生き物を操る神官の位も持っているのだ。

ベケスの体はゴキブリとハエに覆われた。

半日後。シュンシューンは再び祈ると、虫たちは去っていった。


 
 
 

戦いの終わり

皇帝陛下の軍がラムセスを追いつめ、ユーリを取り返したりしているころ、ヒッタイト軍の幕営に1人の老紳士とぽっちゃりとした娘がやってきた。
「只今、皇帝も近衛長官もいらっしゃらないので、私、書記官長名代、シュンシューン・イナリが代わりに承ります(うけたまわります)
「私は村長でございます。シュンシューンさま、過日の件なのですが・・・、銀200枚はおかえしいたします」
「ずいぶん低姿勢だが、村長。どうしたのだ」
「実は、暴行をした、と私が捕らえた兵士なのですが、あの・・・その・・・・」
「村長、はっきり言って下さい」
「あたしが代わりに申し上げます」娘は言った「実は、あたしたち、合意の上だったんです。」
「えっ」シュンシューンの丸い目は更に丸くなった。
「その、ヒッタイトの兵隊さんに声をかけられ、あまりの心地よさに・・その・・大きな声を・・」
「村長の早とちりなのか!!」「御意。申し訳ございません」

(シュンシューンは、早速ユーリさまに報告の書簡を送ったが、結果的に、ユーリさまはこの書簡を読むことはなかったと思われる。拉致、妊娠、旗艦沈没騒動でそれどころではなかったようだから)

シュンシューンはベケスを呼び出すと、事の事情を説明した。
「そうだったのですか。シュンシューンさま、ありがとうございます」
「なぜ礼を言う。私はそなたの体にゴキブリを・・・」
「いえ、私は処刑されたり、◇◇を切断されてもおかしくない状況にあったのに……。あのときは死ぬほど辛うございましたが、おかげさまでこの娘と所帯をもつことができます。」
「村長。それでよいのか」「はい、皇帝陛下とイシュタルさま、そしてシュンシューンさまのいらっしゃるヒッタイト帝国の兵士なら間違いないでしょう」
 

「ところで村長」「はい、シュンシューンさま」
「早とちりをして、ユーリさまや我が軍の兵士に迷惑をかけた罰として、刑を執行する」
「えっ」
「村長、左手を貸して下さい」シュンシューンの執事が、村長の左手の甲にはちみつをたっぷり塗った。
シュンシューンが天に祈ると、空が暗くなって・・・・・
 
 

(※ =娘 ◇◇=局部)


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